木10ドラマ『わたしの宝物』第1話がついに始まりました。
「托卵」という禁断のテーマを扱った本作のキャッチコピーは「夫には見せられない木曜劇場」。
ド直球すぎるストレートな表現にも驚きましたが、ひとまず文字通り、家族が寝静まったあとに一人で鑑賞。
…結果、妙に納得しています。
初回から夫にはもちろん子供にも絶対に見せられない(見せたくない)ような胸痛な展開の数々に、ショックかつ衝撃的なラスト…!
75分があっという間に感じるほど物語に惹き込まれ、喜怒哀楽・気持ちの上がり下がりに翻弄されっぱなしでした。
今回はそんな衝撃の話題作『わたしの宝物』第1話の感想および、冬月の生死などについて考察しています。
『わたしの宝物』第1話にご興味がある方はぜひ最後までお付き合い下さい。
わたしの宝物|1話感想
『わたしの宝物』第1話の感想は、一言で表すと「複雑…」です。
何が複雑かって、もう何もかも。
美羽の置かれている立場を考えれば、冬月に縋りたくなる気持ちは痛いほどわかります。
かつては愛し合っていたはずの夫から浴びせられる、乱暴な言葉の数々。
存在を否定されるような、蔑み見下されているような視線。
誰にも相談できず、自分一人で抱えなければいけない孤独・閉塞感。
夫の機嫌を取るため、作り笑顔を張り付けて、それでも「笑うな」と怒鳴られる理不尽な毎日。
夫が急に連れてきた部下のために酒のツマミを作り、忘れた書類を会社まで届けても感謝すらされない。
それどころか、部下の名前を少し間違えただけで軽蔑を含んだ怒りを向けられる始末。
夫のために尽くしても、返ってくるのはいつだって苛ついた態度だけ…。
そんな毎日に嫌気がさして、逃げたいのに、逃げられない。
どうすればいいのかわからない。
そんな中で偶然出会ったかつて「楽しい」日々をくれた幼馴染の存在は、美羽にとって暗闇に射す一筋の光でしかなかったはずです。
惹かれるのは必然で、「ここから連れ出して、助けて」と願う気持ちは至極当然のものだったと思います。
でもそれは、世間一般からすれば”許されない行為”に他ならなくて…。
一方、夫の宏樹が置かれている状況を考えてみると、また違った視点が見えてくるな、と。
普通に考えて、外であれだけ「面倒見の良い上司」だの「良い夫」だのを演じていたら、絶対疲れるに決まっています。
きっとその背景には、まだ描かれていない”莫大なストレスを抱えるに至る何か”が隠されているのでしょう。
外面を取り繕うあまり本当の自分を出せず、常に気を張り他人の顔色を窺う毎日。
「良い上司・良い夫だと思われなければ」そんな想いで雁字搦めになり、身動きが取れずまたストレスが溜まっていく悪循環。
まさに絵に描いたような完璧主義者、神経質で、少しのミスも許されない…。
吐き出す場所なんてない、だから妻に当たってしまう、傷付けてしまう。
暴言を吐くことで自我を保ち、今にもバラバラになりそうな自分を必死に繋ぎとめているような感覚。
本当はこんな嘘塗れの自分がどうしようもなく嫌で、それでもどうしたらいいのかわからなくて。
美羽を傷付けることで支配したい、でも本当は、ちゃんと大切にしたいとも想っている…。
そんな矛盾した想いに苦しんでいるようにも見えました。
とはいえ、どんな理由があろうと理不尽に相手を蔑み、傷付けていいわけがありません。
宏樹は反省するべきです。
そして最後に、美羽と一夜をともにしたかつての幼馴染・冬月稜。
この3人の中で一番狡いのは、実は冬月だと感じています。
美羽が何かに傷付き悩んでいることを知った上で、「初恋の人」「美羽は特別だから」と甘い言葉を口にし。
日本を離れる前に会えたのは「神様がくれた贈り物だ」と、運命を感じさせる台詞を吐いて。
その上、夫がいる身と知りながら美羽と関係を結び、「迎えに行くから待ってて」などと平気で言ってのける。
本当に狡い…、狡いけれど、美羽にとっては間違いなく”救い”だったんですよね…。
失っていたはずの大切なものを、美羽の心を動かす”宝物”を取り戻させてくれたのは、他でもない冬月だったのですから。
もちろん、冬月は彼なりの覚悟を持って関係を結んだのだと思います。
「迎えに行く」という言葉も、「彼女を救いたい、助けてあげたい」という気持ちも本物だったのでしょう。
それはそれでいいのです、2人が本当に幸せになれるのなら。
結果的に美羽は冬月の子を宿し、これからは新たに授かった命と彼への愛を抱いて生きていく…、そんな未来が待っているはずでした。
しかし、「待ってて」と言ったはずの彼は、出国先のアフリカでテロに巻き込まれ帰らぬ人に。
その事実を遠く離れた地・日本で、TVの報道番組で知ることになった美羽。
ひとり残された美羽は深い悲しみの中、冬月の子を「夫の子」として偽り産むという禁断の決断を下しました。
それはタブーであり、非情な禁忌。
それでも、美羽の下した決断を誰が責められるでしょう…?
だからこそ「複雑」で、言葉にならない葛藤が沸々と湧き上がってくる…。
そんな感想を持った第1話でした。
わたしの宝物|冬月は生きてる?
結論からいうと、冬月は生きていると思います。
※完全に筆者の憶測です
メインキャスト3名の内の1人が第1話でフェードアウトするとは考えにくいですし、まだ冬月本人だと確認できる遺体が発見されたわけでもないからです。
現状わかっているのは、あくまでも日本人犠牲者2名のものと”思われる”遺品(所持品)が見つかったということだけ。
※第1話ラスト、第2話予告より
その点から考えてみると、以下のようないくつかの可能性が挙げられます。
- テロ現場で見つかった所持品は冬月のものだが、遺体は別人(損傷が激しく判別不可能?)
- 遺体で見つかった人に貸していた上着のポケットか何かに、冬月の所持品が入っていた
- ただ単に、彼が逃げている途中に所持品を落とした
1997年に放送された月9ドラマ『バージンロード』にもありましたよね。
外国でテロに巻き込まれ亡くなったと思っていた恋人(?)が、実は生きていたという展開が。
見つかった所持品から遺体の身元を判別したため、誤った情報が伝えられた…というオチだったと記憶しています。
今回の冬月もそうであって欲しい、そうじゃなきゃ困る、と内心バクバクです。
何より美羽のために、美羽を迎えに行くという約束を果たすために、何がなんでも生き延びていてくれなくては困ります。
なぜなら、美羽のお腹にはもう冬月の子が宿っているのですから…。
わたしの宝物|ベッドシーンの陰と陽
『わたしの宝物』第1話で描かれたベッドシーンでは、陰と陽の対比が美しいと感じました。
宏樹との暗闇の中での無理やりな行為では、美羽は手を強くに握り締め必死に耐えている様子=陰が表現され。
冬月とのやわらかな陽光の中での優しい行為では、美羽は冬月の手をそっと握り返す様子=陽が表現されていました。
その対比が美羽の心情を体現しているようで”美しい”と感じると同時に、演出の見事さに感嘆…。
そして何より、松本若菜さん(美羽役)、田中圭さん(宏樹役)、深澤辰哉さん(冬月役)の体当たりな演技がとても素晴らしかったです。
わたしの宝物|美羽の決断
美羽は冬月が亡くなったと知り、新たな”宝物”をくれた彼の子を産みたいと考えるに至りました。
たとえそれが、許されないことだと分かっていても。
自分が悪女になってでも、この子は絶対に産む…夫の子供として。
この、美羽が下した「托卵」という選択。
第1話ラスト、冬月との子を「あなたの子よ」と告げた時の、夫を真っ直ぐに見据える眼が印象的で。
守るものができ決意を固めると、人は強くなれるのだと改めて実感させられました。
美羽の選択が導く宏樹と冬月の運命とは。
夫に嘘をつき続ける決意を固めた美羽の行く末は。
進んだ先は天国か地獄か、今後の3人の運命を大切に見守っていきたいと思います。
わたしの宝物|冬月死亡?生存?1話感想まとめ
今回は『わたしの宝物』第1話の感想および、冬月の生死に関する考察をまとめてみました。
ひとまず第1話を終えての結論としては、「冬月は生きている」と考えています。
※完全に筆者の憶測です
理由は2つです。
- メインキャスト3名の内の1人が第1話でフェードアウトするとは考えにくいため
- まだ冬月本人だと確認できる遺体が発見されたわけではないため
※見つかったのは冬月の所持品のみ/第2話予告より
全体を通しての感想としては、美羽・宏樹・冬月、それぞれの立場によって視えてくる世界が違い過ぎて、本当に複雑で難しいですね…。
世の中は正しい行いや正論だけで成り立っているわけではないことを。
一見”非道”とも呼べる行いが、実は誰かを救っていたり、助けに繋がっていたりすることを。
間違った選択なんてこの世には何一つないのだということを。
正解にする意志があれば、それが正解に繋がっていくのだということを。
諦めなければ、どんな形であれ願いは叶うのだということを。
このドラマは丁寧に伝えようとしてくれている気がします。
第2話以降の物語も大切に追っていきたいと思いますので、よろしければ最終回までお付き合い下さいね。
さいごまでお読み頂きありがとうございました。
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