禁断のテーマ「托卵妻」を描いた衝撃の話題作『わたしの宝物』。
第1話では理不尽に夫(宏樹)に虐げられる哀れな妻(美羽)と、そんな美羽に優しく寄り添うかつての愛しい幼馴染(冬月)との偶然の再会・禁断の一夜が描かれました。
そして、ラスト5分で衝撃に次ぐ衝撃の展開を迎えたわけですが…!
続く第2話では一転し、宏樹が抱える事情と心情、美羽が抱える葛藤と決意が描かれます。
今回は『わたしの宝物』第2話の感想および、宏樹と美羽それぞれが抱える想いについて考察していきます。
『わたしの宝物』第2話にご興味がある方はぜひ最後までお付き合い下さい。
↓ 第1話の感想・考察はこちら ↓
わたしの宝物|2話感想
第1話が美羽のターンだとすると、第2話は宏樹のターン。
会社での宏樹の立場は本当に酷なもので、見ていて胸が痛くなるほどでした。
必死に良い上司を取り繕い、親身に接してきた部下からは陰で馬鹿にされ、「ああいう上司がいると便利だよな」と嘲笑われて。
上司からは執拗にパワハラ・モラハラを受け、心身ともに追い詰められて。
会社に行こうとするだけで激しい動機に襲われ、自分の意志とは無関係に勝手に涙が流れる日々。
それなのに、大きな新規プロジェクトのリーダーに抜擢されたことで今よりさらに忙しくなる…?
もう心身ともにボロボロで、それでも逃げることもできずに…。
本当は誰よりも何よりも大切にしたいはずの美羽に、ツラく当たってしまう毎日を後悔しながら。
美羽に理不尽にストレスをぶつけている自分に嫌気がさし、どうにかしたいと願いながら。
美羽だけでなく、生まれてくる子供にも酷いことをしてしまうのではと怯えながら。
胸が軋み、心が悲鳴を上げるたびに、かつて美羽からもらったハンカチを強く握り締めて…。
この時の宏樹にとって「逃げちゃえば?」と声をかけてくれた喫茶店のマスター・浅岡の存在は、まさに救いだったと思います。
時に遠回しな表現で、時にストレートな物言いで、確実に宏樹の心を救い上げてくれていました。
今後も宏樹は、浅岡の「核心に触れる言葉」や「助言」に何度も救われていくのでしょう。
心の内を素直に吐き出せる存在がいることの大切さを、改めて教えられた気がします。
一方、美羽の辛さや葛藤も痛いほど伝わってきました。
妊娠してもなお変わることのない夫からの冷酷な態度に絶望しながらも、お腹の子が夫の子ではないことに酷く罪悪感を感じて。
…いっそのこと、離婚しようか。
そう思っても、母親の入院費(先月は55万6千円の請求)を支払いながら、一人で子供を産み育てるなんてできない…。
冬月に会いたくても会えない。
少しでも何か情報を得ようと図書館に足を運んでも、彼の生死に関する情報は何も得られない。
本当に死んでしまったの? もう、二度と会えないの…?
お腹の中で脈打つ彼との子供の命を感じながら、宏樹からの「美羽のことも子供のことも何もできない、する気もない」という言葉を受け入れて。
お腹の子を守るために「夫の子」だと偽り生きる覚悟を決めて。
もう夫には期待しない、しちゃいけない。
お金さえ工面してもらえればそれでいい。
…それなのに、生まれた子供を抱いた宏樹は、嗚咽を漏らしながら涙を流していて。
その姿は美羽にとって衝撃だったに違いなく、また宏樹自身にとっても想定外の感情だったのかもしれません。
宏樹の心中を想うと目頭がカッと熱くなるような、とても切ないシーンでした。
そして、アフリカの爆破テロの医療現場では、もう一人の悪女が爆誕の予感。
死亡したと思われていた冬月が実は生存していることを知りながら、その事実を隠し。
未だ意識不明の冬月に寄り添いながら、彼のことを「下原」だと嘘の証言しています。
※下原=冬月・水木の同僚
つまり、本当は亡くなったのは下原で、生き残ったのは冬月。
遺体の損傷が激しく判別ができなかったせいか、名前が入れ替わっていたようです。
水木は日本で待っているという冬月の”大切な人”に、この事実を知らせたくないがために嘘をつきました。
冬月を想う気持ちゆえだとしても、それは決して許されないことです。
きっと真っ直ぐな水木は、この時嘘をついた自分を深く責める日が来るのでしょう。
宏樹・美羽・水木の心の内が明かされた、胸が痛くなるような第2話でした。
わたしの宝物|宏樹の嗚咽と涙の理由
宏樹が涙した理由は、きっといくつもあるのでしょう。
会社での多大なストレスによる鬱症状、美羽に対する仕打ちへの後悔。
生まれてくる子供への不安、本当に大切なものを大切にできない自分への葛藤や絶望…。
美羽を愛しているからこそ、みっともない姿は見せられない、見せたくない。
だから心を閉ざし、素直になれず、接し方が分からずにツラく当たってしまう。
そんな自分に嫌気がさして、でもどうすればいいのかわからなくて。
宏樹の心はずっと悲鳴を上げているのですね。
嗚咽を漏らしながら涙を流すシーンは、見ているこちらまで胸が締め付けられるかのようでした。
わたしの宝物|美羽の葛藤と決意
美羽の葛藤も十分すぎるほどに分かります。
夫以外の子を妊娠し、父親になるはずだった愛する人(冬月)は、遠いアフリカの地で帰らぬ人になったと知って…。
会いたくても会えない、この子を守れるのは私一人しかいない。
宏樹と別れて一人で育てようにも、母親の高額な入院費を支払いながら、一人で産み育てることは現実問題として難しすぎて。
…結局美羽に残されたのは、冬月との子を「夫の子」として一生嘘をつき続ける道しかなかったのかもしれません。
喪失の果ての美羽の決意は、必然だったのでしょう。
わたしの宝物|冬月は生きていた
第2話終盤、冬月の生存が確定しました。
冬月は生きていた…! 本当に良かった…!!
冬月は重傷を負っていたため別室に隔離されており、同僚の水木も顔を見ることができずにいました。
その上、現地の医療班はみな冬月のことを「下原」と認識していたため、死亡したのは冬月だと思われていたのです。
しかし、実際には逆で、生きていたのが冬月、亡くなったのが下原。
「下原」の容体が悪化したと知り病室に飛び込んだことで、彼が下原ではなく「冬月」だと知った水木は、冬月への恋心・美羽への嫉妬から嘘をつきます。
この生存者は「下原」であると。
こうして、日本では「冬月」が犠牲者として報道され、亡くなったことにされていたのでしょう。
美羽がその事実を知るのは、第3話以降になります。
わたしの宝物|宏樹の事情と美羽の決意!2話感想まとめ
今回は『わたしの宝物』第2話の感想および、宏樹と美羽それぞれが抱える事情や葛藤について書かせて頂きました。
立場が変われば見えてくる景色も変わり、宏樹への同情や美羽への共感、すれ違っていく2人の姿に胸が苦しくなりました。
どうして人はこうも素直になれないのでしょう。
愛するものを真っ直ぐに愛することができないのでしょう。
なぜ大切な人を傷つけ、自分自身にも傷をつけてまで、自ら沼に足を踏み入れてしまうのでしょう。
穢れのないものに手を触れた時、自分の中の善良な心が「苦しい」と叫ぶのだと。
「もう嫌だ」と、「助けてくれ」と。
目の前の美しいものに心が触れるたび、自身の真っ黒な部分がより浮き彫りになるようで辛く。
とめどなく嗚咽を漏らすほど自身が追い詰めらていることに、そこで初めて気付く…。
そして残酷なことに、この宏樹の壊れそうな心を救えるのは、美羽しかいない気がしています。
美羽の心はもう宏樹には向いていないのに…。
第3話以降、美羽は冬月と再会します。
その時美羽がどのような決断を下すのか、宏樹はどうなってしまうのか。
今後も大切に追っていきたいと思います。
さいごまでお読み頂きありがとうございました。
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