『わたしの宝物』第3話では、ついに子供が誕生した後の美羽と宏樹の生活と変化が描かれます。
第2話ラストで子供を抱いた瞬間に号泣した宏樹。
予想外の反応に戸惑う宏樹自身と美羽でしたが、子供の誕生を機に二人にどのような変化が訪れたのでしょう?
また、アフリカの爆破テロで生き残り帰国した冬月は、何を想い、どのようなアクションを起こすのでしょう。
今回は『わたしの宝物』第3話の感想および、宏樹の変化と美羽に渦巻く罪悪感などについて考察していきます。
『わたしの宝物』第3話にご興味がある方はぜひさいごまでお付き合い下さい。
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わたしの宝物|3話感想
第3話では宏樹の変化が著しかったですね。
脆くて壊れそうで、でもやわらかくてあたたかい、”自分たちの”子供。
そんな頼りなくも儚い、大切な存在を前に、これまで築き上げてきた体裁やキャリアよりも守るべきものが、愛おしむべきものがあると気付いたのでしょう。
自分にとって何が一番大切なのかを悟った宏樹が少しずつ表情を和らげ、美羽と子供にやさしく接するようになる過程は見ていて微笑ましくもあり。
同時に、美羽の心情を想うと切なく苦しくもなりました。
宏樹の優しさが戻ってきたことを素直に喜べないことも、そのたびに胸の奥底で渦巻く罪悪感が消えないことも、美羽にとっては罪の鎖でしかありません。
悪女になりきれない、割り切れないからこその苦しみや葛藤が伝わってきて、胸が締め付けられる思いでした。
また、子供の名前にも衝撃を受けました。
まさか冬月と美羽を繋ぐ「栞」が子供の名前になるなんて…。
残酷なのは、宏樹の道標となってくれた「栞」が、彼の本当の子供ではないことです。
愛する妻と他の男の間に授かった子を、宏樹は強く”愛おしい”と感じている…、それが如何に残酷なことか。
美羽には自分のしたことの罪深さがわかっているからこそ、宏樹の前では本当の意味で笑うことが出来ないのです。
もちろん、第1話のあの時のあの状況では、美羽の行為に同情も芽生えますが…。
一方、冬月の暢気さ加減には若干の苛立ちを覚えました。
既婚者と知りながら美羽と一夜をともにし、迎えに行くと約束したにも関わらず、連絡先の一つも交換していないというアバウトさ。
※交換していたけれど、携帯が壊れ連絡が取れない感じだったらごめんなさい
「何度だって会いに行く。きっと待っててくれてると思うんだ」じゃないでしょう。
相手既婚者ですよ、家庭壊す気満々じゃないですか。
しかも報道では、あなた死亡したことになっているんですよ。
美羽にどれだけの心労をかけたのか、悲しい想いをさせたのか、もう少し考えて発言して欲しいなと。
1年前とは相手の状況が変わっているかもしれない、今は旦那さんと上手くいっているかもしれない。
自分が彼女の前に姿を現すことで、彼女の心を乱すかもしれない…。
そんな想いや考えが、冬月の頭には一度でも浮かんだでしょうか?
どうしても自分の美羽に対する「好き」「会いたい」を美化し、思い出に酔っているようにしか思えずモヤモヤ~…っと。
もちろん、冬月が爆破テロに巻き込まれたのは彼のせいではありませんし、不運が重なっただけなのだとわかっています。
冬月が迎えに来る日を美羽自身、心待ちにしていた時期もありました。
宏樹とは離婚し、冬月とともにこれからの人生を歩むと決めた瞬間があったことも。
しかし、月日が経ち、美羽と宏樹の”今”を知っている以上、冬月にはこれ以上二人の邪魔をしてほしくないと切に願ってしまいます。
想い合って結婚した二人が新たに掴みかけている幸せの形を、無闇に壊さないで欲しいと。
なので第3話のラスト、冬月の腕の中で涙を流す美羽を見て、複雑な気持ちになりました。
「やっぱり会えて嬉しいよね、よかったね」という安堵と、「すぐそこに宏樹がいるのに…」という焦燥。
そして、「あぁ…また罪悪感に拍車がかかる…」という絶望に駆られて。
何より、二人を再会へ導いたのが「栞」だという点が皮肉ですよね。
本の「栞」も子供の「栞」も、見えない糸で冬月と繋がっているのをひしひしと感じて。
切っても切り離せない美羽と冬月の絆のようなものを感じる第3話でした。
わたしの宝物|子供の名前と由来
美羽が産んだ子供の名前は「栞(しおり)」です。
美羽が宏樹に名付けをお願いし、宏樹自身が考え、名付けました。
なぜ美羽は冬月との子の名前を宏樹に決めて欲しいとお願いしたのか、それにはこんな理由がありました。
美羽がまだ小さかった頃、美羽の両親は離婚し父親とは会えなくなった過去があります。
しかし、「美羽」と名付けてくれたのは彼女の父親であり、会えなくても父親の存在を近くに感じられて嬉しいと思っていたそうです。
その経験から、約束通り子供は一人で育てるけれど、この子が寂しい思いをしないように「父親」である宏樹に名前をプレゼントして欲しいと考えたのです。
そして宏樹は子供に「栞」と言う名前を贈りました。
美羽の母子手帳に挟まっていた”栞”から着想を受け、自身の”道標”となってくれたことを由来として。
「栞」には「道標」という意味があり、自分にとって何が一番大切かを気付かせてくれた(道標となってくれた)栞に、その意味を持つ名前をプレゼントしたのです。
わたしの宝物|宏樹の父親としての自覚と変化
宏樹が父親としての自覚を芽生えさせたのは、純真無垢な栞の存在と、浅岡(喫茶店TOCAのマスター)の真っ直ぐな言葉たちなのでしょう。
小さくてやわらかくてあたたかい栞の体温に触れる内に、いつの間にか凍り付き頑なだった心が解かされ、フッと肩の力が抜けて。
自分にとって何が大切なのか、守るべきもの、愛すべきものは一体何なのかに気付いたからこその変化だったのだと思います。
大型案件のプロジェクトリーダーを辞退し、子煩悩な父親に徹するくらいですからね、彼は本気ですよ。
また、浅岡の核心を突くストレートな言葉の威力も凄いですよね。
じんわりと胸の奥に染み渡る言葉の数々に、壊れかけていた宏樹の心がどれだけ救われたことか。
“あの”宏樹が発した「汗水垂らしても手に入らないものがある」という言葉と、どこか吹っ切れたような表情がそれを物語っています。
自宅では美羽との約束を破って育児に参加し、辛く当たっていた日々を素直に謝罪するまでの成長を見せた宏樹。
「栞を産んでくれてありがとう」と言い手を握る姿なんて、第1話・第2話では予測できなかった衝撃の変貌です。
本来の宏樹が戻ってきた気がして嬉しくなる半面、美羽の心情を想うと素直に喜べないのが悲しいですね…。
わたしの宝物|遺された者の悲しみ
第3話では、アフリカの爆破テロで犠牲になった下原の弟・隼人(西垣匠)が登場します。
隼人は自身を訪ねてきた冬月と水木に対し冷ややかな言葉を投げかけますが、それは兄を亡くした喪失感からくるものでした。
下原と隼人は両親を早くに亡くしており、親戚もおらず二人きり。
親代わりのような兄に素直になれなかった隼人は、彼此3年程連絡を絶っており、亡くして初めて抱く後悔や悔恨の念に苛まれていました。
冬月に対し「あなたの顔を見ると兄が死んだ事実を突きつけられている気になる」と告げ、距離を取ろうとする隼人。
そんな隼人に時間をかけて寄り添うと誓った冬月は、遺された者の悲しみを背負い生きていくことを決意するのでした。
また、一人ですべてを背負おうとする冬月に「一緒に背負わせて。私にも分けてよ」と手を差し伸べたのは水木です。
現地の医療施設で、冬月を想うがあまり生存者を「下原」だと偽ったことに罪悪感を抱いていた彼女。
隼人を前に弁明することもできず苦しむ彼女もまた、遺された者の一人なのです。
水木のしたことは多くの人の心を傷付け揺さぶる、許されないことだけれど…。
わたしの宝物|冬月の帰国と再会
およそ1年振りに冬月が日本へ帰国しました。
帰国後、冬月が日本でしたことは2つです。
- 水木と新たな事業を立ち上げる準備をはじめた
- 美羽との思い出の図書館に赴き、彼女を探し会おうとした
同僚の下原を亡くした今、冬月と水木は二人で新たな事業を始める準備を進めていました。
オフィスを借り、出資企業を募り、自分たちができることを探して。
その一方で、冬月は美羽に会うべく彼女を探していました。
二人が中学時代に過ごした思い出の図書館に足を運び、情報を集め、それでもなかなか会えずにすれ違う日々。
そんな二人を導いたのは、まさかの美羽が持つ「栞」。
冬月が亡くなったと思っている美羽は「このまま冬月とペアの栞を持ち続けるわけにはいかない」と、別れの意味を込めて図書館の本の間に栞を挟み手放そうとしました。
しかし、そこで二人は出会うのです。
まるで見えない糸が冬月と美羽を結びつけるように、栞が二人を手繰り寄せるように。
思いがけず再会を果たした二人は、その場でそっと抱き合います。
「会いたかった」と抱き寄せる冬月と、驚きのあまり絶句し涙を流す美羽。
図書館の外には宏樹と栞が待っているのに…。
わたしの宝物|子供の名付けと宏樹の変化!3話感想まとめ
今回は『わたしの宝物』第3話の感想および、子供の名前と由来、宏樹の変化、遺された者の悲しみ、冬月の帰国と再会に関する情報をまとめてみました。
もう一度、子供の名付けに関する情報をまとめておきますね。
正直、仕事一筋だった宏樹がその仕事やキャリアを投げ打ってまで、ちゃんと「父親」になろうとする姿勢や心境の変化には驚きました。
人は何がきっかけで変わるか本当に分かりませんね。
一方で、宏樹が本来の彼らしさを取り戻し、美羽と子供に愛情を注げば注ぐほど、美羽の心がジクジクと蝕まれていく様子は見ていて辛かったです。
自分がしたことの罪の意識を抱え、罪悪感が渦巻く心を隠し、子供のためにも出生の秘密を守り切ろうと心に決めた矢先に出会ってしまった本当の「父親」。
冬月と再会したことで美羽の心がどのように動き、どんな決断を下し、宏樹との関係にどう折り合いをつけていくのか。
第4話以降も大事に見守っていきたいと思います。
さいごまでお読み頂きありがとうございました。
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